さんじゅうろうの覚え書き

不治の中二病を患っている中年男『さんじゅうろう』の他愛のない覚え書きです。10年後には立派な黒歴史になっているかもれしない。

【日帰り】そうだ…鹿と戯れよう(表サイド)【名古屋→奈良】

私はなんとなく変化の無い日常にウンザリしていた。

明日も同じ時間を過ごして、普段と変化無く過ごしていくのか?なんて考えたら、自分の中のフラストレーションがどんどん上がって行く。

少しでも変化が欲しい、そう考えて私は日帰りで名古屋か奈良に…そうだ『鹿に会いに行こう』と思い立つ。(実はもう一つ理由があるのだが…)

そんなわけで、奈良に……っと、まてよ…『普通に奈良に日帰り旅行してきました』では面白くないぞ……という訳で私をある事を思いついたのでした。

 奈良、ギリギリの予算で行くか!!

名古屋から奈良、高速バスでいけば往復で3900円で行けるのだが、事前の予約などが必要。

突発で思い立った私が取った行動なので、そんな事前準備など出来れいるわけでは無く、今回は電車ルート。

特急など一切使わずに最安で電車を乗り継いで奈良に向かうと名古屋から奈良のJR京終(きょうばて)駅まで2230円かかる、それに私の自宅の最寄駅から名古屋まで交通費230円を足すと2460円。これで私の自宅から奈良まで電車で向かう最安の金額である。

まずはその往復分2460✕2で4920円それに食事代1000円+鹿せんべい代200円と…合計で6120円。

その金額だけ財布に入れて出発!

普通に全て予定通りに事が進めば、この金額で問題なく行けます。

しかし、こんな突発的な遠出……予想外の出来事が起こる可能性は充分あります。

例えば、電車の時間に遅れてしまって仕方なく特急に乗る…とかそんなアクシデントが起こってしまったり、旅慣れていない私がそんな落とし穴に落ちてしまう可能性高い。

しかも今回は安全策として往復切符を買うなどと言う行為は一切なし。

現地に行ったはい良いが予想外の出費で食事が摂れないとか……最悪、家に帰れないなんて事もあるかもしれません。

そんな綱渡り的な縛りを課しながらの今回の日帰り旅行です。

 

5:32始発の電車でスタート

自宅の最寄駅の始発前、まだ肌寒くひんやりとした空気が漂う。

頭の中にふと渡辺美里さんの『Believe』が流れるが、実は始発にも関わらず人が結構いました。世間は朝一番から意外と慌ただしい…。

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しかし、私には最初にして最大の関門が待ち受けていて緊張していました。

この始発が名古屋鉄道(名鉄)の名古屋駅に着いた6分後に近鉄名古屋駅からの急行が出発する。この6分の間に名鉄から近鉄に移動して乗車券を購入して近鉄の伊勢中川行きの電車の乗り込まないといけない。でないと、その後しばらく特急が続き、大きな時間ロスになってしまう。勿論、特急券を買うつもりは無いのだ。

電車に乗り込むと取り敢えず座れるってくらいの乗客数だが、取り敢えず立って出口付近に待機、10分も経たないうちに名古屋駅なので、とにかく早く行動するというのが最優先。

到着後、急いで近鉄方面に小走りで向かう。ここで迷ったらアウトなので慎重に案内板を確認。近鉄の改札へ。

ここで私の視界の死角になっているのか自動券売機が見当たらない、改札はそこにあるのに…。しかもあろうことが私が並んだ窓口らしきところは特急券売り場らしいのだが知らずに並んでいた。

「あの、桜井まで行きたいんですけど」

「でしたら名張までの特急で…」

「あ、すいません、特急じゃなくて急行で…」

「あ?行けますよ勿論、でもここは特急券売り場ですので、そういった案内をしたんですが

~」

「あ…すいません券売機が見当たらなくて…何処にいけば…」

「ええ、こちらでも勿論提供できますよ」

「あ、すいません、じゃあお願いできますか?ちょっとよく分からなくて、すいません」

「いいですよ」(カチャカチャ…)

「すいません、すいません」(急いでいるので平謝り…)

ああ…6分しかないのに…確かに間違えた自分も悪いけどね…ああ、ヤバい。

残り時間がまだ3分ほど残っているので完全に低姿勢で対応する私。

これで時間が過ぎたらもう色々とワヤにしてしまいたい気持ちをグッと抑える。

発券してもらい、そのまま改札を通って始発の急行に間に合う。

取り敢えず最初で最大の難関は突破出来た。

ホント、旅慣れていないので不安だ。

伊勢中川~桜井(奈良)へ

さて、1時間とちょっと電車に揺られて三重県の伊勢中川駅へ…。

ここで大阪上本町の急行に乗り換えないと行けないのだが…。

乗り換えは大丈夫だろうか?また大急ぎにならないだろうか?そんな不安がよぎる中で車掌さんのアナウンスが…

『間もなく終点、伊勢中川です。当電車はそのまま大阪上本町行きとなります』

あの独特の車掌イントネーションで告げられる。

え?じゃあ別の電車に乗り換えるわけじゃないのね…このまま普通に座ってればいいのね…。

と、言うことでこのまま座っていることに…。

実質乗換なしの直行と知り安堵する。

もっと『私らしいドタバタ』が展開される事になると、思ったのだが肩透かし。

(しかし後々、これがチョットしたフラグになっているのである)

電車は伊勢中川から大阪方面に出発、ここからはもう山々に囲まれた緑深い風景が続く。

さすが忍者の里が近いニンニン…と頭のなかにとある漫画のキャラが浮かんだのだが、それは取り敢えず置いて置くでござるよ…ニンニン。

しかし癒される風景である。流石に周りの乗客の手前、風景を撮影するのは はばかられたが、山に囲まれノドカな風景が続く。途中スマホの電波が圏外になると言う現象を体験しながらも電車は進む。

そう言えば家を出る時に「ちょっと行ってくる」と言い残したまま出て来てしまったが、大丈夫だっただろうか?なんて頭に過ぎったが、確か息子が私のTwitterをフォローしているはずなので、どこかで行き倒れても確認は出来るだろう…。今日は結構、事細かにツイートをしているからね…。

伊勢中川を出てから更に1時間ちょっと電車に乗っている中、そんなどうでも良いような事をずっと考えていました。

そして電車は奈良の桜井に到着。電車の振動でいささか気分が悪い。

取り敢えずJRの電車に乗るまで30分ほどあるので近くのコンビニで水分を補給しようと思い外に出る。

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少し散歩したのだが、実にのどかな雰囲気、山が近いせいだろうか?普段吸ってる空気とは違うと思うのは私が少し旅情的な気持ちになっているからだろうか?

そんな土曜日の朝である。コンビニで水のペットボトルを1本購入して一口だけ飲んで……いや、三口ほど飲んで蓋をしてカバンに入れる。

朝はとても涼しかったのだがなんとなく暑くなりそうな予感、水分は大事に飲まないと…。

そうこうしてる内に間もなくJR線の奈良行き電車がやってくる。

 

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目的地まで8駅、2両編成の電車、しばらく電車に揺られているとあることに気がつく。

駅についても扉が開かないのだ。実はこの電車、途中の駅では2両目の扉が開かないのだ。

1両目の前扉から乗り降りする。そして、先頭にはバスの様な料金支払機がある。

ワンマンバスならぬワンマン電車なのだ。

ここでもそんな写真撮影を忘れると言うポンコツブロガー振りを見せる。

……というか結構お客さんが乗っていたので、ここでいきなり撮影とか始めると何かと迷惑になりそうな気がして控えたのだ。

しかし、何とか文章で伝えるとそんな感じ。そして先頭の車窓から見える風景は牧歌的でノスタラジーな気分にさせれくれる様なのどかな風景である。

普段の移動に使っている方はどの様に感じているかわからないが、先頭車両から見える風景がとても印象的だった。

それでも途中、天理のような開かれた街があり、今と昔が混在したような風景には気持ちの高まりを覚えずにはいられない。

そして8駅___________私は京終と言う駅に到着した。

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JR奈良駅の1個前の無人駅である。JRを利用して奈良公園に向かう場合、距離的にはこちらのほうが近い。それに少し奈良の町並みを散策してみたいという気持ちと、幾つかの理由で私はこの駅で降車した。

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京終駅前、なんとも言えない佇まいである。

ちなみにこの駅から降りて奈良公園に向かう人はあまりいないようだ。

午前9:32、地元を5:32に出てから4時間後、私はとうとう目的の駅に到着。

ここからしばらく歩いて私は奈良公園に向かった。

 

運動不足にタタラれながら…歩く

奈良の街はそんなに道が広くは無い。これは名古屋基準、名古屋が広すぎるのであまり比較は出来ない。しかじ周りの車の様子を観察するが、車の運転はそんな狭い道路に合わせるかの様に丁寧だ。明らかに名古屋とは車のスピード感が違う。

よく他の土地から名古屋に来て名古屋の交通事情に驚く人の声を聞くが、なるほどコレならそう感じるのも無理は無いのかもしれない。そんな事が頭に過ぎった。

今まで「そんなことは無いよ、名古屋だってマナー良い人は沢山いるよ」と言い続けて来たが、少し認識を改めないといけないかも知れない。そんな事を考えながら京終の街を歩く。

ただひたすら歩く_________歩く………なんか結構距離があるぞ。

私のささやかな旅情気分は足…特にふくらはぎ辺りから漂う強烈な疲労感で徐々に薄れていった。

スマホの地図で見た時は「そんなに遠くないじゃん」と思っていたのだが…これが案外…遠い。2~3kmくらいなら行けるとタカをくくっていたのだが、これが結構キツイ。

己の運動不足をタタリながら歩く…。

これから知らない街を歩く時は、同じ縮尺時で自分の地元の周辺も見てもっとしっかり感覚を掴んで置かなければ…なんて事が頭に浮かぶ。

まだまだ過ごしやすい気候ではあるが、それでも徐々に暑くなっていて、僅かではあるが確実に体力を削りに来ている。

あの信号を左に曲がれば後はまっすぐだ…でもまだその信号が点のようにしか見えない。

少し不安になりながらも歩く。あの信号までどれくらいあるのだろう300…いや400m?

どちらにしてもボルトなら1分かからない距離だ。頑張れ俺と訳の分からない事が脳裏に浮かんで来る。

途中、バスに乗り込もう…なんて事が頭に過ぎったが、それをすると確実に食事は諦めなければいけない…そんな葛藤と戦いながら歩く。

やっと信号に到着して、そこを左に…まだもう少し距離がある。

もうここまで来たら前に進むしか無い。トボトボと奈良公園に私は向かった。

今、再度確認して見て気がついたのだが…明らかにJR奈良駅、近鉄奈良駅より距離がある。

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なぜ下車したのが「京終」だったのか?それは今回はお話できない。これは後編にあたる「(裏サイド)」で明らかにすることにするが、実際の所は私のミスである。

奈良の街を散策したいなんてもう「建前」である。

そういう毒電波がドンドン私の脳に流れ込んで来た時に、物凄く涼しい風が吹いた。

とうとう鹿と戯れる!!

頬を撫でるような冷たい風が心身ともに少し疲れた私を癒やしてくれた。

そうか池があるんだ、『荒池』と言う池がここまでくれば本当にもうすぐである。

ふと左側を見ると立派な塔が見える。

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これは興福寺の五重の塔らしい、小学生の時に修学旅行で来た時は全く興味がなかったのだが、どうしてなかなか立派なものである…と手前の看板に気がつく

これは…『!!鹿注意!!』の看板ではないか…私は知らぬ間に鹿出没ゾーンに足を踏み入れていたのか!そして改めて視界の右側、荒池の方を見ると…

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その向こうの芝生に鹿!!!!

第一村人ならぬ『第一鹿』を発見!!!

コレはスマホの望遠を最大にして撮った画像なので肉眼では分かりづらかったが確かに鹿である。

いよいよ私のテンションが上ってきた!!!

『表向きには』こいつと戯れたくてここまで来たのだ!今までの疲労が一気に吹き飛ぶかのように少し早足になる。

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赤門を発見、ここをくぐる、

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赤門をくぐると真っ直ぐな道が広がる。このずっと行った先には春日大社があるらしい。

とにかく私は鹿と戯れそうなスポットに向かった。

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こんな看板が苑内にあり、自分が今、鹿の本拠地に足を踏み入れている事を実感させてくれる。

この時点でパラパラと鹿の姿を発見。ただ、もう少し頭数のいる所に行きたい。

確か鹿せんべいを売ってる場所があるはずだ…そこに行けばきっと鹿達が盛り上がっているに違いない……と私はこの道を真っ直ぐ歩き始めた。

最初の鹿せんべい販売所を発見。財布を取り出して…ある事に気がつく…。

『鹿せんべい ひと束150円』

『150円』

私が小学生の時に修学旅行で訪れた時は確か『100円』だった。だから2束買うつもりで200円の予算を計上したのだ。

「高騰の波がこんな鹿せんべいにまで……なんてことだ」と呟くも私が小学生の時って何十年前だよ!!と言うセルフツッコミを入れることも忘れない。

考えてみたら間違いなく30年以上経っている。50円くらい値上がりしても当然な話である。

しかし、「もしかしたらここだけ150円でこの苑内では価格競争の波が…」なんて考えて、もう少し販売店を探すことに、しかしやはり何処も150円である。

これは観念しなくては…と鹿せんべいを2束、300円で購入。消費税をとられたらどうしよう…などと頭に過ぎったが、安心してください税込みでした。

しかし予想外の出費である。これで食事のランクは間違いなく1つ下がった。

でも、そんなことは関係なく私と鹿とのラブラブタイムが今始まろうとしてる。

 

鹿と戯れる中年男性

そう、この鹿せんべいを買った瞬間から私と鹿の甘いひとときはスタートする。

それまでまるで置物の様に静かだった鹿が一斉に集まってくる。そんな気配を背中に感じる。

既に私はその鹿の鼻先でお尻を突っつかれている。

振り向くとそこには……

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完全に目が行っちゃてる鹿が…。

さっきまでの大人しさは何処に行ってしまったのか?と言うくらいに集まってくる。

私はひと束封を切り、ひと束カバンにしまって、鹿にせんべいを与え始める。

ここからの様子は少々わかりづらいのだが…一応画像があるので、雰囲気を味わって欲しい。

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「ぐお!!待て、ちょっと待って…あ、駄目それはせんべいじゃないスマホだ!」

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「うわ!!!大丈夫!あるから、やめて!そこはやめて!!そこは突っつかないで」

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「ごふ!!噛まないで、しかもアマガミやめて(ニヤニヤ)」

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「押さないで!ぐわ!!写真が…写真が撮れない…君ら結構、力強いな!!」

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「ああ、なんかベチャベチャになってるぞ…まぁ、いいけど…ああ」

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「ああ…あと1枚しかない…あと1枚どうしよう…どうしよう…」

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「よし、さっきから力負けして1枚も食べられなかった君にあげよう!!」

________と、いう訳でひと束終了。

「はーい、無くなったよー」と振り向いた私が撮った奇跡の1枚が…これだ。

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全頭一斉に視線を逸らす…………それはまるで

『鹿せんべいの切れ目は縁の切れ目』と言わんばかりの光景だった。

こんなところで、『ちやほやされたいが為に若いおねーちゃんに貢いで破滅した中年男性』の気持ちを味わうことになるとは……。

鹿たちは私のせんべいタイムを見て興味を持ち、鹿せんべいを買った外国人観光客の方に一斉に移動していった。

1人残された私はトボトボと進んで来た道を戻っていくのであった。

それでも数頭は私がカバンに入れたもうひと束の事を覚えているらしくしばらくの間、私を追いかけないまでも思いっきりガン見していた

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そのうちの1頭があんまりにも立派な角をしていたので、思わず写真に撮らせて貰った。

ただこの鹿は完全に私がもうひと束持っていることに気付いているらしく、とにかくカバンへの熱視線が凄かった。

ゴメンな…これはまだあげることは出来ないんだ…。(その理由については後編(裏)にて)

 

そうして私の鹿まみれの1日の半分が終わった。

帰りがけに先ほど見た興福寺の五重塔を間近で見ることが出来た。

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立派なものである。

先ほどまでの少し寂しかった道のりでは無く、今度はお土産物屋が立ち並び、観光客で賑わいを見せる三条通りを西に向かう。

ここからはこの『奈良弾丸旅行の真の目的』とも言える裏サイドの始まりである。

 

 

【次回予告】

奈良に到着して鹿と戯れると言う目的を達成した私、しかし『真の目的』はそれにあらず。

言うなればこれは『表サイド』である。

『そもそもなぜ京終だったのか?』『なぜ鹿せんべいをひと束カバンにしまったのか?』

まだ明かされていない謎がありますね。

『真の目的とは?』その全貌が明かされる!

そしてこの旅で感じた反省点からの総括も次回の『後編(裏サイド)』にて!!

私が自由に使えるお金……あと800円(食事代含む)。