大学中退起業家さんの事を考えてみた
何となく今日ははてブに載っている様々な話題を幾つかかいつまんで、ブクマのコメントでは書ききれない部分を書いていくつもりだったが、最初の話題につい気持ちが入ってしまい、長々と書いてしまった。
はてな界隈ではちょっとした『時の人』になっている彼の話題で今回は書いてみたいと思う。
大学中退起業家のイシダさん
最近話題になった『4ヶ月で大学を中退して企業を目指す』石田祐希さんが話題になった。
彼が話題になったのは彼のブログの記事が発端
若者がチャレンジするするのは、私はとても良いことだと思う。
いや、若者に限らずチャレンジ精神をもって人生を歩んでいくことは悪いことでは無い。
夢を持つことを否定するような野暮なことはしたくないが……。
歳のせいか、つい親目線で見てしまう
どうしても私は『親目線』で見てしまう。
仮に自分の息子がこんなことを言いだしたら、まず私だったら息子に
『向こう3ヶ年の事業計画を出させる』
事業内容とそれに関わる経費、そしてそれによって得られる収益予測。
ビジネスは夢物語ではない。数字が関わってくる来る現実で、まず『どの様に顧客を獲得するのか?』『どれくらいの予算が必要なのか?』『それに対していくらの収益を上げることが出来るのか?』最低でもそれくらいの「明確な数字」を要求すると思う。
これを「今しかチャンスは無いんだ」とか「俺は絶対に成功する」とか具体例を挙げずに感情だけで言われても、多分それで首を縦に振ることは出来ない。
よく成功者の話で『強い熱意が成功に導いた』ような話を聞いたりするが、それだって数字に基づいた明確なビジョンかそれと同等の実績が無ければ、社会では誰も相手にしてくれないのだ。
私のは別に融資担当の銀行員でもなんでも無い、いわば素人だが、その私が最初の壁になってやらないと、私くらいはキッチリ数字で説得できるくらいの状態で無いと、間違いなく失敗するからね。
あの異様に熱量の高いプロレスラー大仁田厚にしてもよく『電話線一本だけで団体を立ち上げた』と言っていたが、それまでの全日プロレス時代や、その後の芸能活動などで得た実績や人脈が無ければ、彼の熱意だけではどうにもならなかっただろう。
幸いにもこのイシダくんは親を説得することが出来て今では応援もしてくれるという事らしいが、ブログでその辺りは若干曖昧で、詳しく言及されていない。
同じような事を考える若者は多いと思うので彼には
『僕はこうやって親を説得して大学を中退して起業を目指した』
と言う実体験を記事にして欲しいと思う。親への説得は成功して、実績として一つ前に進んだ彼の成功例が知りたいとふと、考えてしまう。
傍観者として思うこと
彼に対して私は多くの人達と同じように『ただの傍観者』である。彼の人生に別に責任を持ってる訳でも無いし、若い人が情熱を持ってチャレンジするんだから温かい目で応援すればいいじゃん……とも思う。
あんまり非難して『老害』とか呼ばれるのも嫌だからね。
でも、手放しで『頑張れ』とか『若さゆえのチャレンジだから』と言う気にはどうしてもなれない。
上の記事のブックマークの人気コメントで『山登り』に例えた人がいたが、山登りに例えると確かにわかりやすい。
「自己決定」の光と闇 4ヶ月で大学を中退し起業をめざす 石田祐希さんインタビュー – メンヘラ.jp
これから山を登ろうとする人間が「山登りのリスクなんて思いつかない」って言ったら死にに行くのか?って思うけど、そういう感じ。自分の無知に対し、もっと真摯に向き合うべき。
2016/09/19 14:30
登山経験の無い若者が軽装でエベレストに挑戦するとか言ったら、とりあえず止めるじゃん。
『若いんだから挑戦しようぜ』とは言えない。
少しでも山の怖さを知っていたら、やっぱり危険と言いたくなるさ。
あまりに準備不足じゃないか?と、少なくとも彼に危うさを感じてしまった。
それがこの記事。
これを読んで私はつい『え?こんだけなの?』と感じてしまった。
これで、高校や大学の友人の質問に答えたの?
え??これで友達は納得してくれたのか?
え?俺が今まで感じてきた社会の厳しさはなんだったの?
これで成功できるなら人生なんて楽勝じゃないか?
え?これを『若いんだから頑張れ』といえるのか?
と思ってしまった。
実はこの記事を書こうと思った動機はこのエントリにあった。
それまでは別にどうでもいいかなぁ…と、思っていたくらいだったのだが、このエントリを読んで挑戦と呼ぶにはあまりも無謀すぎると感じたからだ。
いくら私が『ただの傍観者』だとしても、その危うさをもし伝えられるなら、何らかの手段を使ってでも伝えたいと感じた。
こんな小さなブログで言及しても届かないであろうが、私一個人として「あぶないよ」と言う意思表現をすることで、とりあえず私の中のモヤモヤだけは救われると感じた。
私はその程度の傍観者なのだ。
だからこんな小さなブログだけど、私なりに「うーん、違うんじゃないかなぁ…」とまず意思表示だけはしたい。
前に書いたように「若者が頑張る姿はいいものだ」とは思っている。
「失敗は人生の糧になるから」とも思う。
「何事も始めて見なければ分からないから」とも思う。
けど、経験上得てきた失敗から、感じる危険性も同時に言うべきだと思う。
いくら無責任な立場だからと言って、「頑張れ・頑張れ」だけでは
そんなのは『風船おじさんを煽ったマスコミや世間』と同じだと思う。
あの出来事の後味の悪さをふと思い出すと、何となく今回の件と被ってしまい、どうも気分が宜しくない。彼の起業もその程度の認識なんだと思うのは、最初に彼の話題を目にした時に真っ先に浮かんでしまったのがこの「風船おじさん」だったからなのかもしれない。
年長者として最低限のアドバイス
この項目はいらないかなぁ…とも思ったけど。さっきから「あぶない」としか言ってないので、流石にこれで締めるのはなんだか変なので、幾つかのアドバイス…と言うか、思うところを書いてみようと思う。
・まず外に出よう
街に出て世の中に存在するいろいろな物の「意味」を意識してみよう。
普段は何のことも無くスルーしていたものの『意味』を意識してみることで、自分の中に新しい考え方が浮かんでくるという事は結構あったりする。一見意味のないものに意識を向けて、その意味を見出すように考えてみよう。
・人と接しよう
友人でも誰でも良いので他人と接しよう。出来れば価値観が全然違う様な人が良い。
受け入れなくてもいいので、ただ世の中には色んな考え方がある事を言葉以上に理解しよう。
それは1日3冊の本を読むよりも有意義なことだと思う。
・出来れば経営のノウハウぐらいは師事した方が良い
誰か信頼のおける人物に経営のノウハウくらいは師事したほうが良いかもしれない。
1人でやっていくにしても、何らかの障害があった際にそういう経験が解決を早くしてくれると思う。事業でつまづいて右往左往する事は多分、『学校での勉強の時間がもったいない』と思っている以上に『もったいない時間』だと思う。
上の2つは本当に簡単なことなので頑張ってみてはいかがだろうか?
誰でも出来ることだけど、案外、誰も意識してやってない事だと思う。
あとがき
人生にレールなんて無いと思う。
人生のレールなんて語るのは昔話を語るときだけだと私は今更ながらに思うことがある。
既定路線だと思っている世界の先を『わかりきっている』と言うにはまだ現実を知らなすぎる様に感じる。
彼がよく言う『普通にはなりたくない』という言葉。
心配しなくても『普通に生きたいくても普通に生きられない』人は沢山いるからね。
起業家を目指すなら起業家としての『普通』が待ってるわけで、何が『普通』なのか明確に答えることなんておじさんでも無理。
おじさんは失敗ばかりしてきたからね。
『やりたいこと』に水を差すのも良い気分では無いが、せっかく『やりたいこと』を見つけたんだから、旅支度だけは万全にして、いつか大成功を収めてほしいとは思うよ。
ホントは三行くらいで終わらせる予定だったけど、つい熱が入ってしまった。